14 旅の空、遠い声


脇道堂書店 〜わたしの一冊〜編集者/柏子見

通勤の時にはだいたい本を読んでいました。
決まってだいたいがミステリーと呼ばれる種類のものを図書館で借りてきては通勤の電車で消費する、終わったらまた図書館へ、を繰り返ししていました。
こんな生活をしていたときに、ふと思いました。

なんでミステリー読んでるんだろう?

思い当たる理由もなく、本屋で見たことがある、名前を聞いたことがあるとかで、結局何が好きでというのが自分でも分かりませんでした。
単に時間を潰すだけの道具だなぁとも。それなら他の本も読んでみようと図書館に行き、児童書や紀行、今まで自分が見なかったものを見ようとしたときに、見つけた本が戸井十月さんの「旅の空、遠い声」です。

旅の空、遠い声  1992/11 戸井 十月 (著)

アメリカ大陸バイク横断旅行やユーラシア大陸横断など、バイク旅行の話なんですが、その旅行談より作者にとって旅はなんなのか?というありきたりな、それでいて簡単な説明の、数行のコメントが強く心に残りました。
正直びっくりしました。
普通のありきたりな理由なのに、なんで自分はこの文章に惹かれているんだろう?
安心させられるような、背中を押されるような、そんな思いがしました。

それからも何回も何回も、図書館に行っては本を借りて、その冒頭を読む、それで安心をする、いろんなことを決めて行動する。
自分に正直に動き出すきっかけをくれる本になりました。

今回、自分の中での本を紹介することになったときに、この本をと思ったのですが、
ずっと図書館で借り続けていたので、覚えていたのは作者と表紙、肝心のタイトルは覚えてない、
ネットで探しても絶版になったのか画像が出てこない、そして今はいつも通っていた図書館から離れているため、
他の図書館で何度も書庫に本を探してもらっては表紙を見てすぐ返却、を何度か繰り返しやっと借りることができました。

今になって何故買わなかったのかなぁと思いながら、『図書館に足を運んでこの本を探して読む』
その行動もこの本と同様に大事なことなのかもしれないです。
久しぶりに読んで、ふとバイクで旅行はしたくないけどせっかく免許持ってるからバイク買ってみるかな、
とまた何か動き出すきっかけをくれそうです。

2017.10.4
久野 真嗣

公開日/2017年10月04日



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