わらしべ長者実験室【1】プロローグ
わらしべ長者実験室編集者/柏子見(企画・撮影・文)/脇田・小倉(ページ編集)
松下電器、現在のパナソニックの創業者、松下幸之助は面接の最後に必ずこう問いかけたという。
「あなたは運がいいですか?」
そして「運が悪いです」と答えると、どんなに学歴や面接が良くても、即不採用だったらしい。
有名な話ですが、そもそも「運」と言うのは曖昧なもの。
何をして運を良しとするか、そもそも個人差があるものなのか…
それは誰にも分からない気がする。
そこで今回の実験室では、その「運」を見える化してみようと思う。
名付けて「オフサイド わらしべ長者実験室」
ここに一万円がある。
これをオフサイドのスタッフに渡して、
果たして一万円以上の価値ある物を手に入れる事ができるのか?
「運」に関する、壮大な実験を始めたいと思う。わらしべ長者候補に選ばれし者は、
コピーライター歴2年、坂口雄城(29歳)だ!!
「坂口くん、なぜ呼ばれたか分かるかい?」
「いえ、ぜんぜん…」
「実は…カクカクシカジカ…」
「…はあ…そうですか…けど、なんで、僕がわらしべ長者に…?」
「君は少し前に彼女にフラれたよね?」
「そんな事、公共のネット上で言(ゆ)わんでも…」
「人は、彼女にフラれた時、二通りに考えるのものなのだよ」
「…はあ…」
「これは不幸の始まりか、それとも不幸の打ち止めか…」
「つまり、ボクは後者やと?」
「その通りだ。これから、運気が最も上昇する漢。それが君なんだよ!!」
「やましいお金では無い、これを君にあげよう。
これを元手に君がどこまで登り詰めるのか
見届けてみたい。
さあ、受け取りなさい」
「どうだ、何か見えるか?」
「…はい…」
「…ドバイが見えます…」
「いいね、そのフォトジェニックなイマジネーション」
「名古屋より先に、
地元和歌山にリニアを通して見せますよ!」
「おお、すごいぞ!それは」
「もう陸の孤島なんて呼ばせないぜよ!」
「今日から君の事は、わらしべ竜馬と呼ぼう!」
「ところで、ひとつお願いが」
「なんでも言いたまえ」
「1万円、くずしてもらっていいですか?」
「なんで?」
「一発で終わってしまうんも何やから、
小分けにしてリスク分散しょうかなと」
「なんか小さいな…
まあいい。ほら、5千円札一枚と千円札5枚ね」
「ありがとうございます!」
現金を手にした途端、坂口の表情が変わった。
何かが憑依したのか?
それは果たして、わらしべ長者なのか?それとも?
「グッドラック!」
坂口雄城、2017年末に見せた、その年一番の笑顔。
(続く)
公開日/2018年01月26日