わらしべ長者実験室【2】願掛け編
わらしべ長者実験室編集者/柏子見(企画・撮影・文)/脇田・小倉(ページ編集)
前回、突如1万円を手渡された坂口。
「これを元手に君がどこまで上り詰めるのか見届けてみたい」
ファーストゆとり世代に秘められた野心が、今うごめき始める。
翌日。
(僕はこれから、運気が最も上昇する漢)
(いったい、何をなすべきなんやろう)
(短絡的には動けない。じっくり考えやな・・・)
(あっ・・・)
(・・・・・・・・・・・・・)
ドバイ※イメージ
「これにしよ」
(なんかわらしべ長者企画とか言ってたような・・・)
(まあ、当たってから2、3万掴ませたら黙るやろ)
やる事は決まった。
あとは行動あるのみ!
そう、結局の所「運」とはただ待っていて上昇するものではない。
ぼーっとしていると、30直前でフラれたりするのだ。
名古屋市北区 山田天満宮・金(こがね)神社。
東海地方でも屈指の金運アップスポットである。
ここの御神水で洗ったお金からは不浄が落ち、福を招くという。
高額を手にした方々。
ありし日のこち亀くらいでしかお目にかかれない、115億円という金額。
そのご利益は折り紙付きだ。
ここで更に金運を高めれば、もはや当選は確定と言える。
(・・・当たりすぎて実家の冷蔵庫みたいになってる)
「セレブ世界への第一歩!」
宝くじを買う→当たる→遊ぶ→幸せ
彼の頭の中には、すでに完璧な人生設計が出来上がっていた。
順番待ち。
この時期はやはり宝くじの購入資金を清めにくる人が多い様子。
託された1万円を篭に載せ、入念に水を掛ける。
かけすぎた。
穢れが落ちきって、すっかりしおらしくなったお金。
お参りも済ませて、神様に媚を売る。
(感じる・・・運気の高まりを)
(カシオの時計(1,000円)とも、じきにお別れする事になるだろう)
静かな自信が、坂口の胸を満たしていた。
帰り道。目の前を黒猫が横切ったが
しっぽの先が2センチほど白かったので多分セーフ。
つづく
公開日/2018年04月06日