デザイントリニティー23
デザイントリニティー編集者/牧村
第廿参回〈学こころ〉
先日、道場でこんな話を聞きました。うちの先生の師匠はその道ではとても有名な方で、若い頃より様々な武術を志され、日本中はもとより世界中に師をもとめて旅をされたそうです。そんな中、様々な師と出会い武術を身につけたのですが、それらの師匠に共通することがあるそうです。それはどの師匠も何も教えてくれないそうです。弟子として数年、師のもとで修業をするのですが、何も言われないし、何も指導もされないそうです。要は見て感じて覚えなさい。ということみたいです。本物を身につけた人はそうみたいです。意外に親切丁寧に教えてもらえる師匠はもしかすると?本物ではないのかも?というようなことを言われていました。まあ必ずしもそうではないと思いますがまあそうみたいです。この話を聞いて私なりに思うことは、教えてもらう側の心構ではないのかな?と。これは本気で身につけたいと思えば自分から積極的に行動を起こし全身全霊で覚えると思います。これが一番大事なことではないのかな?と。自分がその気にならない限りどんなことでも身にはつきません。教え方がどうのこうの?というのは関係がないと思います。仕事でもそんなことを思う今日この頃です。この年になって思うことは若い頃より仕事をして当然後輩に指導もしてきたのですが、きちんと育つ人もいれば、うまく育たないで業界をやめていく人もいます。自分の教え方が悪かったのか?となんども悩んだことがありました。でも今に思えばそれは間違いだったと思います。それは自分ではなく教わる側の姿勢で決まる。ということだと。なので育つ人は何もしなくても成長しますし、育たない人はどんなに手をかけても無理です。人はとかく教えられたがる、そしてとかく教えたがる。これはもう本能に近いものです。でも、「愚か者ほどとかく教えたがり、そして賢い者ほど学びたがる」ということばもあります。なのでとにかく自分で学こころを持つことが大切です。経営の神様と言われた松下幸之助は「学こころ」と題して次のような事を言っています。「人生、学こころさえあれば、万物自然すべてこれ師なり」と。
公開日/2018年05月17日