3 Memories of Green


脇道音楽堂 〜わたしの一曲〜編集者/柏子見

社内コンピレーション・アルバムの際に挙げた好きな1曲が「Chariots of Fire」でしたので、またかになってしまいますが、今回もヴァンゲリスです。

Memories of Green(1980)

映画「ブレードランナー」でBGMとして使われています。
デッカードが自室にて最初にレイチェルと対峙するシーン。※1
彼女の幼い頃の”記憶”に関して言及する場面、まさしくMemoriesです。

ピアノの旋律がちょっと物悲しく、物語にベストマッチ。
…なんですが実はこの映画のためにつくられた曲ではありません。

Memories of Greenは、もともと1980年にリリースされたアルバム「流氷原」に収録されていた曲。

前年に「チャイナ」、翌年に「炎のランナー」をリリースしていて、それらと比べると目立たないアルバム※2ですが、油の乗りきった時期の秀作、とりわけMemories of Greenは出色の出来。
監督が映画で使いたくなるのもむべなるかな、といったところです。※3

私自身、当時二十歳前後で多感なお年頃。
片思いとか仕事で上手くいかない時、落ち込んでる自分を
『ちょっと悲観に暮れる俺カッケー』
な気分に酔いしれさせてくれる脳内再生曲のひとつといったところでしょうか。
デッカードよろしく、グラス片手に窓から外を眺めたりして(笑)

奇しくも「ブレードランナー」で描かれたのは、2019年の世界。
フィクションに追いついたリアル世界は、あの世界ほど酷くは無かったなと、久しぶりにこの曲を聴きながら思い出に浸ります。※4

____

※1:世間的には2度目の「Say ” kiss me.” 」からのキスシーン、BGM(Love Theme)のほうがメジャーですね、やっぱり。
※2:ジャケットは印象的。
※3:リドリー・スコット監督は後年、別の映画でも使用しています。「むべなるかな」言いたかっただけw
※4:次の企画「脇道シネマ館」な気がしてきた。映画の事、書きすぎたw

2018.7.25
森 秀樹

公開日/2018年07月25日



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