Staff-22 高橋有希子は「NHKな女」である
子供の頃、NHKは大人が見るつまらないTVの代名詞だった。
例外的に夕方の連続人形劇は見ていたが、終わると速攻で民放にチャンネルを変えるのだ。
大きくなるにつれて面白いと思える番組も増えて来たが、
それでも当時の民放は勢いがあって圧倒的に、そっちを見ることが多かった。
20年くらい前からだろうか。
NHKも路線を変え、民放的な番組やアーティストを取り上げた実験的、挑戦的な番組が増えてきた気がする。
むしろ不景気でパワーを失った民法よりも新しい表現・手法が使われ、(潤沢な予算で?)作られた内容は十分興味を引くものが多い。
オフサイドのデザイナー高橋有希子は、多分そういうNHKを見て育った世代なのだろう。
一応グラフィックデザイナーの枠で入った有希子だが、ムービー制作などマルチメディアのクリエーターとして頭角を現していった。
そんな有希子がアイデアのサンプルに引き合いに出すことが多かったのがNHKの番組コンテンツだった。
アカデミックで真面目、でもちょっと面白い。
そんなコンテンツが多かったと思う。
場当たり的な民法系デザイン事務所(笑)だったオフサイドに、
NHK的なアカデミックな匂いを持ち込んだのは有希子はが初めてだった。
それは新しくて、そして時代の流れだったと思う。
昨今、仕事においてコンプライアンスという言葉がよく出てくる。
自由奔放に仕事をしていた世代には息苦しい世の中なのだが、
有希子世代にしてみればそれは当たり前なのだろう。
コンプライアンスの枠の中で、新しいクリエイティブを創造し、
論理的に結果にコミットする。
これがNHK的有希子世代のスタンス、そしてこれからの主流となるスタイルなのだろう。
公開日/2020年09月08日