テレワークについて


代表のひとりごと編集者/柏子見

最初に入ったデザイン事務所にKさんというコピーライターがいた。
この人はとても優秀なコピーライターだったが、結構な変人でもあった。

ただ当時は特に変人とは思って無くて、ちょっとマニアック?な大先輩という感じだった。

旅行が好きで、柏子見が初めて北海道へひとり旅すると言ったら、
A4レポート用紙3枚に渡ってびっしりとおすすめスケジュールを書き出してくれた。
それだけでちょっとした紀行文になっており、もうこれ読んだら行かなくていいかな…と思わせるクオリティだった。

後に色々なところでKさんの逸話を聞く機会があり、相当な変人だということが分かった(笑)
Kさん伝説は枚挙にいとまがないので又の機会にしたいと思うが、昔はこんな人が結構多かったのだ。
事務所自体は自分を含め4人くらいの会社だったと思う。
思う…というのは、頻繁に色んな人が出入りしていたからだ。
今から思えば、外部スタッフの方々だったと思うが、
内部と外部の垣根が低く、全体的にゆるい雰囲気だった。
そんな環境で社会人デビューしてしまったので、未だに会社員という意識が希薄だ。
事務所はアットホームな雰囲気で、仕事は一緒に終えて全員で会社を出るという風習があった。
誰かが残業しなければならないと、手の空いた人が手伝って終わらせるのだ。
ある日の事。
いつもの様に仕事を終えて、みんな帰り支度を始めていた。
その日は残業も無くみんな一斉に帰れそうだった。
デザイナーのYさんが「そろそろ帰るけど、K君も帰れる?」と聞くと、
Kさんは「あっ、帰れま〜〜す」と言って、そそくさ帰り支度を始めた。
みんなで出口に向かう際に、ふとKさんの書きかけの原稿用紙が目に止まった。
当時はまだパソコンどころかワープロも無く、コピー原稿は手書きだった。
その原稿用紙を見て衝撃が走った!
「な」と書こうとしてて、話しかけられたので途中で止めたらしい。
こ、こんな事する人がいるんだ…
みんなで大笑いしながら帰った。
コロナ禍でテレワークについて考える機会が増えた。
そんな時、何故かこのエピソードを思い出す。
テレワークは確かに合理的だ。
ひょっとしたら大半の業務は会社にいなくても出来てしまうかも知れない。
でも人が近くにいないと体験できない事もいっぱいある。
それが肥やしの様に積もって、今の僕を形成しているのだと思う。

公開日/2021年06月22日



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