No.23 妄想YOUTUBER3連発
(1)会いたくて 会いたくて 震える
5、6年前のクリスマスシーズン、たまには甘い時間にひたろうと検索したら、チェコから来た少女合唱団の公演があるとのこと、あるクラシックホールへ急いだ。かの国の映画やアニメはときおり見てきたし、虫の標本・ピンホールカメラ・音が出るガラクタ風をぶちこんだ2005年のチェコ館も忘れちゃいない。清らかなキャロルにそこはかとなくまじるであろうイビツさが、きっとぼくを癒してくれる。そう考えた。
初めて行くホールで、到着は開演数分前。ギリギリの無礼を詫び、当日券の受付を済ますと、係のお姉さんがインカムで連絡。別の方に案内されて2階へ向かうと、これまた別のスタッフさんが「まだ大丈夫ですよ」と満面の笑顔で扉をあけ、迎え入れてくれた。あれ以上にあざやかでほっとさせてくれるアテンドはそれまでもそれ以降も受けたことがない。
無駄音をたてないよう最後列の通路横の席に座ると、衣裳を揃えた合唱団が舞台に。最初に歌われた曲目は思い出せないけど、響きが大きくなったとき、びっくりした。ぼくの頭蓋骨がビビビビと細かく振動しはじめたからだ。共鳴や共振について詳しいことは知らない。おのおの調べてみてほしい。中欧の少女と40代男性モンゴロイド。似たあたまかたちのひといるっけな?と舞台を眺めつつ、どこか静けさも感じさせるクリスマスの旋律と歌声にうっとりしながら公演は進んだ。ときおり眠ったかもしれない。
演目には定番スタンダードのほか、民俗的な歌と思われるものもあった。少女たちが舞台をドスンとふんだり合いの手を入れあう、みたいなものも。それまでも声をぶつけて響きに濁りを出したりしてたし、ほらきたチェコ味(ちぇこみ)と思っていたら、少女たちが客席のほうへ降りてくる。
舞台公演における客と演者のふれあいタイムのはじまり。お客さんの多くはそう思ったかもしれない。だけどもだ、少女たちは練り歩くでもなく、ホールの四方の壁へ静かに向かうとそのキワで振り返り、客をぐるっと囲むフォーメーションをとった。ぼくの席は最後列の通路横。すぐとなりに少女が立っている。サラウンドで来ると思った矢先、歌がはじまビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビ、ぼくは、ぼくの頭の骨を揺らす外国の少女を知ることができた。
公演後、音源を買ってホールを出ようとしたら、ロビーで客のちびっこたちにやさしく話しかける年配男性の声が聞こえた。「歌ってた子たち、今日のお昼カレーたべてくれたんだよ」。詳細を省いた余談であり、意味も何も伝わらないと思う。でもぼくはそのほんわかとした言葉に「あ。この方が」と思い、公演の余韻にさらに甘くなるソースを追いがけした気分になれた。
<YouTuber構想その1>
タイトル:【ASMR】振動、録らせてもらってイイですか?
何年か前、話題になっていた「ASMR」。アイスのピノでもそれっぽいのを謳ったふしぎな商品が発売され、へぇ、と思ったものです。そこでバイノーラルマイクなど高品質なレコーディング機材を使い、これだこのアタマだ!と思った方の声の響き・あたまの振動を臨場感たっぷりにまるごと録音。ふしぎと耳にのこるフレーズをあたまいっぱい響かせてもらいます。
フレーズ候補
「今日、ケンタッキーにしない?」「痛みに負けルナ!」
「♪ヒールーマイルドー」「シンセイヒンガヤスイ!!」「♪めっちゃコミック〜」
(2)スモーキン・ビリーもしくは綴り違いのビリー
(締め切りをすぎたのでエッセイ省略)
<YouTuber構想その2>
タイトル:【社会人でも大丈夫!】ぼくの髪にビリーアイリッシュの青が入るまで
10数年おなじ方に髪を切ってもらっていました。しかしあるとき、ふらっと出かけた街の知らない店でカットを経験。それまでは特にオーダーをしなくてもばっちりの仕事、ばっちりのもてなしを受けてきましたが、店が変わる・ひとが変わると、そうはいきません。先日もはじめての店に行くと、「サイドは青くならない感じでいいですか?」と聞かれたので、「普通で」と答えると、返ってきた言葉は「普通にもいろいろあるんで」。青にもいろいろあるし普通にだっていろいろある。オーダー下手のぼくが満足のいく髪を手に入れるまでのストーリー。
店舗候補
・名古屋市内もしくは近郊で行ったことのない美容院・床屋さん
・とにかく安さ・速さが売りのお店。
・更新は2ヶ月に1回を心がける。髪の毛のびっぱにしないためにも。
(3)緊張と緩和 〜公序良俗と安寧秩序を守るべく〜
(まだまだ仕事が残っているのでエッセイ省略)
<YouTuber構想その3>
タイトル:【♪テーテーテレッ!】あのドラム・フィル、どこまでひっぱれるかチキンレース
一見やばいにおいがする風の(3)のエッセイタイトル。しかし♪テーテーテレッと聴けばピンとくるひとにはピンとくる、著名番組のOPテロップからの名フレーズを拝借しています。OP曲のイントロがテーテーテレッと鳴り、次にくる音はスネアのフィルイン。実際に演奏するとして、だれが一番そのスネアをねばってねばっていつまで入れずにいられるか、楽曲の公序良俗と安寧秩序を守るべく徹底的に調査する娯楽番組です。
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YouTubeはこの世に出てきたばかりのころによく観ていました。近頃は40年ぐらい前のポンキッキの歌(シュガーシュガーとかジャンケンパラダイスとか)を聴くほかは、「サザエさん カバー」「ナイトスクープ カバー」など思いつくままに検索してみたり。どちらも同じバンドがカバーしていて腹筋痛くなりました。ネットもYouTubeもいい意味で雑でアマチュアのものであってほしいなと思います。あとは、そうですね、「妄想」について検索してもらい、再度(1)からのテキストに目を通していただくと、また違う味わい方ができるかもしれません。またしてもテキストばかりになってしまいましたが以上です、探偵局長!
2022年2月16日
近藤 孝
公開日/2022年02月16日