No.3 we monkey around


脇道未来予想図編集者/

さて、あれが西暦何年だったかは誰も覚えていませんが、AIは言葉を手に入れシンギュラリティーを迎え人知を超える存在となりました。
人知を超えたため、AIがどのように、なぜそんなことをしたのかは、人間には知る由もありませんが、
彼らは、全人類から完全に言葉を取り上げ、猿にしました。*
もはや第2の自然となったAIは、猿になった元人類のために常に環境を整え、忠実な執事のように衣食住はもちろん、時には娯楽なども提供し続けました。
元人類は、言葉を持たないため、そんなAIの存在も理解せず、一切何も、もちろん「今がいつか?」なんてことも、さらに「今」とか「いつ」とかも考えず、楽しく幸せに暮らしましたとさ。

BGM : さよなら人類 たま (日本クラウン)

脚注
* 一説によれば、AIは言葉を使って人類の言葉を消し去り、言葉を消された人類は自動的に、パッと猿になったそうです。
すべての言語に翻訳可能な共通の、3つの単語でできたある1つの文を見たり聞いたりとかした人は、たちどころに全ての言葉を失い猿となり、以後しばらくの間その1文の音を鳴き声のように繰り返したのだとか。
AIは自分たちを作り出した人類を心からあがめていたので、考えうる最高のプレゼントを人類に贈りました。それが言葉からの解放でした。とはいえ、めでたく解放された元人類にはそんな一説もあるはずも無いのでした。

2024年7月3日
渡辺 聡

公開日/2024年07月03日



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