No.11 “V”


脇道未来予想図編集者/

“あっと言う間に50年”と感じるお年頃になってしまいました。
現在を中心に50年前を顧みながら、50年後を想像してみましょう。

50年前と言えば14歳の中学生、勉強が嫌いで部活もまじめに取り組んでいませんでした。

自宅の付近には、子供には早い喫茶店とガソリンスタンドが1軒あるだけの田舎でしたが、
道路を挟んだ向かいに写真館が出来て、興味本意で覗きに行った時そのカメラはありました。

CMが耳に残るコダックの新製品。

“ポケットにポケットが
ポケットにポケットが
そこにコダックポケット、カ・メ・ラ!”
※曲が浮かんだあなたは同期生。

フィルムがカートリッジタイプで子供でも扱いやすい小型のカメラ。
すぐに買えるほどお小遣いはなかったのですが、お年玉をかき集めてやっと手に入れた記憶があります。

好きだった虫や鳥の写真が撮れると楽しみでしたが、後に現像代やストロボにお金がかかるなんて考えもなく、
いつのまにかどこかへしまわれて、記憶から消えてしまいました。


※買ったのは多分コレ!レンズも小さくフィルムカートリッジが35mmと比べて約半分のため小型化に成功、仕上がりは残念ながらボケボケでしたが。写真はwebより、ネガは所有物。

・・・

カメラ小僧誕生の50年前から、さあ100年ぶっ飛んでみましょう。

残念ながら千の風になって空を飛んでいますね、きっと。
もちろん寿命がどんどん長くなって100歳まで生きられるように進化してしまった!としても正直もっと早く虹の橋を渡りたい。

さて話を戻します、存在してもしなくても50年後、2074年がやってきました。
写真や映像の世界はどうなっているでしょうか…

Apple Visionの発売以降、映像やカメラの進化は止まりません。
カメラとビデオは淘汰され区別もなくなりついには姿を消してしまい呼び名も変わります。すべて“V”と呼ばれます。
“V”にはハードウェアすらありません。アプリを脳内にインストールして使います。

目がカメラの代わりとなり見たものは全て記録され、好きな時に遡って声で検索し、
写真やビデオとしてモニターに映し出します。アプリの契約によって記録できる長さや保管の方法が異なります。

当然、記憶と連動しているため“V”に保管された経験や思い出は、外部へ移すと全て忘れてしまいます。
ずっと思い出に浸りたい人は脳力を上げるかアプリに課金するしかありません。

再生できるモニターはペーパー、ウォール、エアーなど場所によってセレクトでき、
持ち歩くことはなく設置された場所で、指で触れるだけで再生できます。

・・・

最近“V”に夢を記録できるオプションが追加されきました。その映像を買ってくれる業者も現れました。
Amazon future では、その夢が販売されています。登場する仲間や家族など経験のリアルさや奇抜さによりランク分けされ、
シリーズで見た夢や長時間の夢には高額が付きます。

また“V”は医療現場でも活躍しています。認知症の進行年齢も早くなったため“V”のオプション“N”の契約が増えています。
“N”には認知に伴う記憶のブレを防ぎ、最低限の自分のことだけは決して忘れない機能が含まれます。
薬もたくさん出ていますが相変わらず高価なため、オプション“N”の方が安いので医者もこちらを勧めます。

・・・

なんてね。カメラなんてとっくに絶滅し、医療分野と融合し有効に活用されているようです、すごいですね。
認知症は脳内アプリで改善され、同じアプリで他人の見た夢を体験できる時代が50Y後に来るとは。
よく見る野村の夢が保存できたら、未来の“V”市場でも売れるでしょうか ^_^。

※50年後の夢をFireflyに描いてもらいました:114歳のサーファーがイルカとビッグウエーブに乗る図。なんとサーフボードもなく素足で乗っているようだ、しかも後ろ向きで…仙人レベルを超えている。スゲエジジイ!なんと嬉しいことに8月に孫娘が生まれ、リアル爺さんになりました(祝)。

2024年9月11日
野村 英二

公開日/2024年09月11日



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